令和3年度 宮崎善仁会病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - 45 75 194 457 351 543 916 784 238
【定義】
令和3年4月1日~令和4年3月31日に退院した患者さんを集計しています。
一般病棟の年齢階級別(10歳刻み)の患者数を表示しています。
各年齢階級で患者数10未満の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。

【解説】
退院患者の総数は3,606人(前年度:2,612人)と2021年4月に市民の森病院と合併したこともあり大幅に増加しております。
患者数が比較的少ない0歳から20歳代までは全体の3.4%であり、前年度と大きく差はありませんでした。
高齢層に関しましては、60歳以上が全体の68.8%を占め、70歳以上では全体の53.7%の割合と高齢者の割合が高くなっております。
当院で最も患者数が多い年齢層は70歳代で全体の25.4%を占める患者数となりました。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060030xx99x40x 小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍-手術なし-処置2:4あり-副病:なし 12 2.00 4.79 0.00% 65.50
060035xx99x7xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-手術なし-処置2:7あり 10 4.00 4.72 0.00% 44.80
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし - - 13.14 - -
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし - - 10.88 - -
06007xxx9905xx 膵臓、脾臓の腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:5あり - - 8.03 - -
【解説】
当院の内科(腫瘍内科)では化学療法を行っております。
化学療法(抗がん剤治療)の患者さんの多くは外来にて行いますが、遠方の方や合併症の多い方は入院でも治療しています。
特に新しいお薬を使用する際や、副作用の可能性が高い患者さんは入院管理の上、化学療法(抗がん剤治療)を行います。
使用する薬剤(抗がん剤)については医師が患者さんの状態を把握したうえで選択し、十分に説明を行い、治療を開始しています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 86 4.45 4.74 1.16% 65.81
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など)-腹腔鏡下胆嚢摘出術等 38 8.11 6.25 0.00% 60.24
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎-限局性腹腔膿瘍手術等-処置2:なし-副病:なし 33 8.79 9.21 6.06% 78.03
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等-処置1:なし-副病:なし 24 16.00 15.76 0.00% 70.88
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし 23 8.00 9.00 4.35% 65.09
【解説】
『鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等』
鼡径部に発生するヘルニアで、もっとも頻度の高いヘルニアです。
74件は腹腔鏡下で修復する手術を行っていますが、腹部の手術歴があり癒着の可能性がある方や、心機能・肺機能が悪く全身麻酔が出来ない患者さんの場合などは医師の判断により皮膚側から手術を行う前方アプローチで手術を行っています。

『胆嚢結石症 腹腔鏡下胆嚢摘出術』
胆嚢結石症に対して、腹腔鏡下で胆嚢を摘出する手術を行っています。
腹腔鏡下の手術は開腹の手術に比べて患者さんの身体への負担が軽く、入院期間の短縮につながっています。

『胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等』
胆管結石に対して、内視鏡を用いて胆道ステント留置、乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ)を行っています。
胆管の狭くなっている箇所に胆汁の流れをよくするステントというチューブを留置したり、胆管を切開して結石を取り除いたりします。

『結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等』
結腸癌に対して、癌を摘出する手術を行っています。
患者様の状態に伴い、腹腔鏡下での部分切除や、開腹での全切除を行っています。

『ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし』
腸閉塞(イレウス)とは、腸管蠕動の低下や腸管内腔の閉塞によって生ずる腹痛、腹部膨満、嘔吐、排便・排ガスの停止などの症状を呈する病態の総称です。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等 141 22.81 25.32 70.21% 82.77
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 126 28.61 23.02 3.17% 76.52
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 66 28.88 20.63 7.58% 71.02
160760xx97xx0x 前腕の骨折-手術あり-副病:なし 25 13.24 4.99 8.00% 61.72
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)-手術なし 21 17.29 19.34 66.67% 77.48
【解説】
『股関節大腿近位骨折 骨折観血的手術(股)人工骨頭挿入術(股)』
大腿部の近位骨折に対して、骨折観血的手術(股)や人工骨頭挿入術(股)の手術を行っています。
骨折観血的手術(股)とは、金属の固定具を用いて骨折部を整復固定することで、早期にリハビリを行うことを目的としています。
また、人工骨頭挿入術(股)とは、骨折部を人工骨頭に置換することで、疼痛の改善、早期離床、早期にリハビリを行うことを目的としています。

『膝関節症 人工関節置換術(膝)』
膝関節症に対して人工関節置換術(膝)の手術を行っています。
人工関節置換術(膝)とは、膝関節を露出させ、大腿骨及び脛骨の関節面の切除を行い人工関節を設置することで、膝関節の痛みを取り除き、関節の機能回復を図ることを目的としています。

『股関節骨頭壊死、股関節症 人工関節置換術(股)』
股関節症に対して人工関節置換術(股)の手術をおこなっています。
変形した関節を人工関節に入れ替えることで痛みがなくなり、短縮した下肢を1-2cm程度長くすることが可能で、歩行能力の改善も見込まれます。

『前腕の骨折 手術あり』
橈骨骨折や尺骨骨折に対し、内固定具を用いて骨折部位を整復固定する手術を行っています。
患者年齢は幅広く、術後2~3日で退院する患者さんもいれば骨折状況などにより、術後リハビリ治療をしっかり行って退院となる患者さんもいます。
また、25件中2件は過去の手術で内固定具を挿入してある患者さんに対し、その固定具を除去する手術を行っています。

『胸椎、腰椎骨折 手術なし 』 
ほとんどが緊急入院を要する患者さんで、鎮痛剤による疼痛コントロールやリハビリなどの治療を行っています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり-処置2:なし 33 2.06 3.30 0.00% 70.03
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍-手術あり-処置2:なし-副病:なし 32 10.22 10.47 0.00% 72.50
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 29 17.03 13.12 0.00% 76.07
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし 18 5.06 9.07 0.00% 72.00
040200xx01x00x 気胸-肺切除術等-処置2:なし-副病:なし 14 13.14 9.86 0.00% 31.64
【解説】
『肺の悪性腫瘍 気管支鏡検査あり』
肺癌疑いの患者さんに対し、確定診断目的に気管支鏡検査を行っています。
検査の時間帯と鎮静のため、一泊入院で行うことが多くなっています。
肺癌で治療中の患者さんに対しても、今後の治療方針を決定するために同様の検査入院をすることもあります。

『肺の悪性腫瘍 手術あり』
肺癌で手術適応の患者さんに対し、肺の切除を胸腔鏡下・開胸で行っております。
32件中26件が胸腔鏡下で手術を行っており、開胸の手術に比べ患者さんの身体への負担が軽く、入院期間の短縮につながっています。

『肺の悪性腫瘍 手術なし』
肺癌に対する積極的な治療を終了された患者さんに対しても、症状緩和目的や在宅療養環境を整える目的の入院、あるいは、終末期を迎えるために入院する患者さんも多く受け入れています。

『肺の悪性腫瘍 化学療法あり』
化学療法(抗がん剤治療)の患者さんの多くは外来にて行いますが、遠方の方、合併症の多い方は入院でも治療しています。

『気胸 肺切除等』
気胸とは、胸の中で肺を包む胸膜(肋膜)腔の中に空気がたまる状態です。
再発例やなかなか改善しない時は、病変部を切除する手術を胸腔鏡下で行っております。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 17 4.18 6.47 0.00% 46.47
030390xx99xxxx 顔面神経障害-手術なし 17 7.59 9.01 0.00% 59.00
030390xx970xxx 顔面神経障害-手術あり-処置1:なし 14 5.21 10.03 0.00% 52.36
030320xxxxxxxx 鼻中隔弯曲症 - - 6.29 - -
010111xxxxx0xx 遺伝性ニューロパチー-処置2:なし - - 12.06 - -
【解説】
『慢性副鼻腔炎』
慢性副鼻腔炎とは、鼻の内部の副鼻腔に慢性的な炎症を起こしている病態です。
全身麻酔で内視鏡下に手術を行い、ほとんどの患者様が4日で退院されます。

『顔面神経障害 手術なし』
『顔面神経障害 手術あり-処置1:なし』
顔面神経障害とは、顔面の一部(眉、目、まぶた、頬、唇など)が自分の意思とは関係なく急に引きつったり、あるいは垂れたまま元に戻らなくなる病態です。
手術をせずに点滴治療で症状が軽快する事もありますが、手術の場合は、ほとんどの患者様が4日で自宅退院します。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2:なし 10 34.70 20.57 40.00% 82.10
010160xx99x00x パーキンソン病-手術なし-処置2:なし-副病:なし - - 17.86 - -
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし - - 13.14 - -
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー-処置2:4あり - - 16.11 - -
160650xx99x0xx コンパートメント症候群-手術なし-処置2:なし - - 24.20 - -
【解説】
『誤嚥性肺炎 手術なし 処置2:なし』
誤嚥とは、食べ物や飲み物、胃液などが誤って気管や気管支内に入ってしまうことをいいます。
そして、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎が誤嚥性肺炎です。
神経内科で治療した誤嚥性肺炎の患者さんの多くは、パーキンソン病の合併症として多くみられる嚥下障害が原因で発症しています。
パーキンソン病等既往症のコントロールを並行して行うため、当院の平均在院日数は全国平均よりも長い値となっております。
ほとんどが緊急入院であり、70歳以上の患者さんの割合が高く、退院後は転院や施設入所される方が多い傾向です。

その他、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、多発神経炎、重症筋無力症、多発性筋炎のコントロールを入院にて行っております。
救急科(総合診療部)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)-手術なし 50 16.62 19.34 82.00% 81.70
160980xx99x0xx 骨盤損傷-手術なし-処置2:なし 13 15.46 19.02 61.54% 87.31
070343xx99x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎-手術なし-処置2:なし 12 14.50 13.35 33.33% 72.08
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし - - 13.14 - -
070350xx99x0xx 椎間板変性、ヘルニア-手術なし-処置2:なし - - 9.90 - -
■救急科(総合診療部)について
救急科(総合診療部)は急変で来院された患者さんを中心に24時間体制で救急対応を行う診療科です。
2021年1月の新病院移設後には救急車の他にドクターヘリでの搬送の受け入れも可能となりました。
救急外来にて対応をした上で専門的な治療が必要と判断した場合、他の診療科との連携や転科での治療継続の依頼をしています。
今回の上位5つの疾患では、救急車などによる救急搬送が9割以上となっていました。

【解説】
『胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし』
救急科では「(胸椎・腰椎)圧迫骨折」の症状の患者さんが多くいらっしゃいました。
治療については保存的治療(手術を行わない治療)でコルセットなどの補助用の装具を作成してリハビリ療法を中心に行い、ある程度のリハビリを行った後、患者さんの生活環境や状況に合わせて他の医療機関へリハビリの継続を目的とした転院となる事が多い傾向にあります。

『骨盤損傷 手術なし 処置2:なし』
主に骨盤の中の「恥骨」の骨折による患者さんが多くいらっしゃいました。
こちらも保存的治療でリハビリを中心に行い、患者さんの状況に合わせて他の医療機関へリハビリの継続を依頼して転院となった患者さんが多い傾向にあります。

『脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 処置2:なし』
診断として多かったのは「変形性腰椎症」で、40代以降の患者さんが多くいらっしゃいました。
加齢が原因となることが主な要因とされていますが、重労働や激しいスポーツなどをする方だと若い世代でも発症する事もあります。
治療内容としてはリハビリ療法や痛みを和らげる緩和的な療法が中心となります。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍-腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 217 5.78 6.04 0.00% 44.31
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍-卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 86 5.51 6.11 0.00% 47.26
120220xx01xxxx 女性性器のポリープ-子宮全摘術等 59 2.93 2.87 0.00% 44.56
120100xx02xxxx 子宮内膜症-腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 47 6.09 6.56 0.00% 40.13
120090xx97xxxx 生殖器脱出症-手術あり 35 7.86 8.31 0.00% 71.74
【解説】
『子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等』
子宮平滑筋腫の患者さんを中心に腹腔鏡にて子宮筋腫、筋腫を含んだ子宮の摘出をする手術を行います。
月経過多や月経困難の他に子宮からの不正出血に伴う貧血などを改善させることを目的としています。
7割を超える患者さんが壁内子宮平滑筋腫の患者さんで、入院期間は6日ほどで退院となります。

『卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等』
良性腫瘍の対する腹腔鏡での手術を行います。
卵管を含めて一緒に切除をする手術以外に卵巣のみを摘出する手術と卵巣を残し腫瘍のみを摘出する手術もあります。
卵巣腫瘍の症状は下腹部の膨満感や痛み、頻尿が現れ、腫瘍が大きくなると腹部で捻じれると激しい腹痛を引き起こします。
こちらも入院期間は手術を含めて6日ほどの入院期間となります。

『女性性器のポリープ 子宮全摘術等』
子宮内に発生したポリープ(良性腫瘍)に対して子宮鏡での切除術を行います。
子宮内のポリープは無症状の方が多い一方、不正出血や月経過多といった原因になる事もあります。
9割以上の患者さんが子宮内膜に発生したポリープの切除であり入院期間は3日ほどと短期間での入院となります。

『子宮内膜症 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等』
子宮内膜症は本来であれば子宮の内側にできる組織が何かしらの原因で子宮の内膜以外の場所で発生して、その組織が発育をしてしまう疾患で、体の痛みが発生したり、不妊症の原因となることがあります。
腹腔鏡にて子宮を摘出する手術や、病巣のみを切除する手術などがあります。
20代から40代に発症する患者さんが多く、入院期間は手術を含めて6日ほどで退院となります。

『生殖器脱出症 手術あり』
子宮の位置が異常な場所にあり、腟内に留まる状態を子宮下垂、膣より脱出している状態を子宮脱といいます。
出産や老化によって骨盤の筋肉が弱まり臓器が下がりやすくなる事が主な要因とされています。
主に子宮脱手術(腟壁形成手術及び子宮全摘術)、腹腔鏡下仙骨腟固定術腟、腟閉鎖術などの手術を行います。
上記のように老化による要因もあることから平均年齢は他の婦人科疾患に比べ高齢の患者さんが多くいらっしゃいます。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり-処置2:なし 62 2.66 3.30 1.61% 72.71
040110xxxxx0xx 間質性肺炎-処置2:なし 35 18.89 18.42 2.86% 77.06
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2:なし 27 21.93 20.57 7.41% 83.67
040150xx99x0xx 肺・縦隔の感染、膿瘍形成-手術なし-処置2:なし 11 32.64 22.84 18.18% 72.82
040110xxxxx1xx 間質性肺炎-処置2:1あり 10 20.90 19.49 0.00% 77.10
【解説】
『肺の悪性腫瘍 気管支鏡検査あり』
胸部X線検診やCT撮影で肺癌を疑われた患者さんに対し、内視鏡 (ファイバースコープ) を用いて細胞や組織を採取し、確定診断を付けるための検査のことを気管支鏡検査といいます。
すでに肺癌治療を受けている患者さんに対しても、今後の治療薬選択の参考にする目的で検査を行うこともあります。
安全な検査ですが、万が一の合併症に備え原則として一泊二日の検査入院をしていただいています。
退院後は後日外来を受診していただき、検査結果と今後の治療方針について説明を行います。

『間質性肺炎 処置なし』
ヒトが息を吸うと空気中の酸素は肺胞壁という膜の中を流れている毛細血管の中に入り、赤血球によって全身に運ばれていきます。
肺胞壁は非常に薄くできていますが、炎症を起こして分厚く腫れると酸素が透過しづらくなるため、血液中の酸素が不足し呼吸が苦しくなります。
さらに、炎症によって厚みが増した肺胞壁の中に硬い線維質のタンパク質 (膠原線維=コラーゲン線維) が蓄積することを線維化といい、こうなると元通りの薄い肺胞壁に戻ることができなくなります。
間質とは肺胞壁の内部のことを指し、そこに炎症と線維化が生じる病気のことを間質性肺炎と言います。
間質性肺炎のうち原因不明のものを特発性間質性肺炎といい、当院では35件中19件を占めています。
他にも関節リウマチなどの膠原病による膠原病性間質性肺炎、薬剤の副作用による薬剤性間質性肺炎など数多くの種類があります。
入院後は薬物療法、酸素療法、人工呼吸療法、呼吸のリハビリなどを行い、7割以上の方が自宅退院されています。

『誤嚥性肺炎 手術・処置なし』
物を飲み込むことを嚥下といい、飲み込もうとした物が誤って気管に入ってしまうことを誤嚥といいます。
さらに誤嚥した食べ物、飲み物、唾液、胃液などが気管から気管支を通って肺まで入ってしまい、炎症を起こす病気を誤嚥性肺炎といいます。
このため脳梗塞などの病気が原因で飲み込む力や咳をする力が衰えてしまった患者さんが多く発症します。
当院では肺炎の治療とともに患者さんそれぞれの誤嚥の成因を究明し、再発抑制のための薬物療法やリハビリを行うことにも力を注いでいます。

『肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術・処置なし』
肺の中に感染した細菌が局所的に増殖し、組織が壊死・融解してドロドロの膿になり球状の空洞を作って溜まった状態を肺膿瘍または肺化膿症といいます。
肺炎から合併する場合もありますが、歯周病の原因菌が血液中に侵入して肺に流れ着いて発症することも少なくありません。
抗生物質によって治療しますが一般的な肺炎よりもかなり長い日数が必要になります。

『間質性肺炎 ニンテダニブエタンスルホン塩酸』
間質性肺炎の多くは、肺胞壁内の炎症とそれに引き続いて生じる線維化によって成り立っています。
炎症に対する治療薬としては古くから副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬が用いられてきました。
一方で線維化に対する治療薬は長年存在しなかったのですが、現在では有効な内服薬による治療が可能となり、この薬剤を抗線維化薬といいます。
ただし、線維化の進行を抑制する薬剤ですので、すでに線維化してしまったものを元に戻す力はありません。
このため線維化ができるだけ軽いうちに服用を開始することが望まれます。
抗線維化薬の1つであるニンテダニブという薬剤は特発性間質性肺炎だけでなく、膠原病性間質性肺炎の患者さんに対しても使用することができ、多くの方が効果を実感されています。

上記以外の疾患に関しましてもCT、肺機能検査、気管支ファイバースコピーなどの診断法や専門療法士による呼吸リハビリも備えており、呼吸器外科とも協力して、呼吸器疾患全般の診断・治療が行える体制を目指しています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900xx 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 16 15.94 17.35 12.50% 87.63
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし - - 13.14 - -
050130xx9901xx 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:1あり - - 18.68 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症-処置1:なし - - 13.07 - -
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2:なし - - 20.57 - -
【解説】
当院循環器内科の入院では「心不全治療」が大半を占めております。
心不全は、心臓の血液循環が低下した状態を指し、主にうっ血により症状が生じます。
他疾患に心不全を合併していることが多く、検査値を観察しながら内服薬・点滴薬を適宜調整し、酸素療法・リハビリ等を行い加療を行っております。
70歳以上の高齢の方が多く、緊急で入院されるため、転院や施設入所が退院先となる患者さんの割合が高くなっています。
また、2022年度から院内で週一回、心不全カンファレンスを行い、多職種連携を図りながら治療に取り組んでおります。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 135 2.33 2.65 0.00% 65.00
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍-内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 21 8.95 7.96 0.00% 71.86
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患-手術なし 15 6.47 7.70 6.67% 67.60
060130xx9900xx 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患)-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 14 7.07 7.74 7.14% 73.93
060102xx02xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患-小腸結腸内視鏡的止血術等 10 14.50 9.63 10.00% 74.60
■消化器内科について
消化器内科は2021年4月の病院合併前は市民の森病院で診療を行っており、合併後に当院で新設となりました。
胃や大腸などの疾患に特化した診療科で大腸ポリープなどの良性腫瘍、早期の胃癌・大腸癌の検査や内視鏡切除なども行っています。

【解説】
『小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術』
当院の消化器内科で最も多い症例は大腸ポリープの患者さんで、146名中135名の患者さんが内視鏡下での切除を行いました。
入院期間については手術後に切除部分からの出血が発生しない患者さんの場合では1泊2日~2泊3日と短期間で退院となります。
年齢層では下は30代、上は80代と幅広くいらっしゃいました。

『胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術』
早期胃癌の患者さんに対して内視鏡にて切除を行います。
紹介元の医療機関や当院外来にて内視鏡の検査を行い内視鏡治療が可能かどうかを判断し、内視鏡切除が不可能と判断した場合には外科へ治療依頼をする場合もございます。
入院期間は1週間~10日前後となり、年齢層も40代から80代と広い年齢層となりました。

『穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし』
『穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 小腸結腸内視鏡的止血術等』
風船のように膨らむ穴が腸の外側にできる事を「憩室症」と呼びます。
その憩室で便に含まれる菌などによって炎症が起こる「憩室炎」、憩室で出血が起こる「憩室出血」があります。
止血術を必要としない憩室出血や憩室炎に対する抗菌薬などを用いて治療された患者さんが15名、内視鏡で出血を止める止血術を行った患者さんが10名いらっしゃいました。
入院期間は1週間から2週間程度の患者さんが多いものの、出血を繰り返し止血術を複数回行うといった状況では入院期間が長くなる患者さんもいらっしゃいました。

『食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 手術なし 処置1:なし 処置2:なし』
胃・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎からの出血、マロリ・ワイス症候群(嘔吐によって胃と食道の境目に裂け目ができ出血が起こる疾患)などの患者さんが比較的多くいらっしゃいました。
抗潰瘍薬などを用いた治療が中心となり、入院期間は3日~20日前後で年齢層では70代以降の方が多かったものの20~30代の患者さんも少数ですがいらっしゃいました。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 24 - 20 - - 35 1 8
大腸癌 18 29 39 25 11 51 2 9
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 20 7 18 56 4 67 1 8
肝癌 - - - - - - 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【定義】
患者数10未満の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。

【解説】
令和3年度に退院した患者さんをUICC病期分類別に、5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんの患者さんの数を、初発のUICC病期分類別、および再発に分けて集計しています。
また、同一人物が複数回入退院した場合は、延べ患者数として集計しています。
UICC病期分類とは、国際対がん連合(UICC)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度(T)、②所属リンパ節への転移(N)、③遠隔転移の有無(M)について、TNMの組み合わせによって各がんをⅠ期(早期)からⅣ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。
「初発」とは、当院において当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指します。
「再発」とは、当院・他施設を問わずに初回治療が完了した後、当院にて患者を診療した場合や、治療がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。

『胃癌』
胃癌のStageⅢの実患者数は11人ですが、延べ患者数で集計していますので20件となりました。

『大腸癌』
大腸癌の実患者数は119件でしたが延べ患者数での集計となりますので173件となりました。
その中でStageⅣの実患者数は17件で、延べ患者数での集計では25件となりました。

『肺癌』
肺癌のStageⅣの実患者数は30人ですが、延べ患者数で集計していますので56件となりました。

延べ患者数の中には、化学療法(抗がん剤治療)で再入院を繰り返す症例なども含まれます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 12 12.67 64.75
中等症 33 25.15 80.39
重症 19 19.18 79.71
超重症 - - -
不明 - - -
【定義】
「入院の契機となった傷病名」と「最も医療資源を投入した傷病名」の両方がICDコードJ13~J18$(※1)に該当する患者が対象。
下記の重症度分類(A-DROPスコア)を使用し、重症度の計算には年齢・性別因子を考慮しています。
・A(Age:年齢)男性70歳以上、女性75歳以上
・D(Dehydration:脱水)BUN(尿素窒素) 21mg/dL以上、または脱水あり
・R(Respiration:呼吸)SpO2(酸素飽和度) 90%以下(PaO2〈動脈血酸素分圧〉 60Torr以下)
・O(Orientation:見当識)意識障害あり
・P(Pressure:血圧)収縮期血圧 90mmHg以下
上記に該当する項目があれば1点となり、軽症:0点、中等症:1~2点、重症:3点、超重症:4~5点(※2)で判定され、
不明については重症度分類の各因子で1つでも不明な項目があった場合に判定をしています。

各項目で患者数10未満の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。
※1:「誤嚥性肺炎」や「間質性肺炎」、「ウイルス性肺炎」といった疾病は含みません。
※2:「意識障害」や「ショック症状」があれば他項目に該当しなくても「超重症」の判断となります。

【解説】
当院では、重症度0~3の中等症の患者数が最も多く、全体の約50%を占めています。65%以上が中等症以下です。
中等症の約93%が65歳以上の高齢者の患者さんとなり、全体の重症度でも90%以上が65歳以上の高齢者の患者さんでした。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
- 10 32.1 82.3 20.00%
【定義】
最も医療資源を投入した傷病のICD10コード(I63$)を集計しています。
脳梗塞の病型別(3日以内の発症またはそれ以外)の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計しています。
患者数10未満の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。

【解説】
令和3年度に脳梗塞の症例で退院した患者さんは10症例となりましたので、発症日別については「3日以内」、「その他」を区別せずに表示しております。
当院では血管内手術(ステント治療、血栓回収術など)は行っておらず、専門的な治療が必要な場合は他院へ転院となりますが、当院では平均年齢82.3歳と高齢の患者さんが多く、新鮮梗塞であっても外科的処置の適応患者が少ないため、リハビリ・薬物療法等治療を行い、7割の患者さんが自宅退院されております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) etc. 16 1.38 5.00 0.00% 70.63
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
K651 内視鏡的胃、十二指腸ステント留置術 - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K726 人工肛門造設術 - - - - -
【解説】
『抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)』
悪性腫瘍の患者さんに対して抗悪性腫瘍剤の局所持続注入または疼痛の制御を目的として、チューブまたは皮下植込型カテーテルアクセスを設置する手術を行っております。
植込型カテーテルはCVポートとも呼ばれ、皮膚の下に埋め込んで抗がん剤を投与するために使用します。
血管に治療針を指さずに低侵襲で行うことができ、きちんと管理をすれば感染率も低く、長期間使用することができます。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 74 0.99 2.39 0.00% 65.14
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 68 1.81 5.66 0.00% 62.00
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 37 0.87 6.60 2.70% 79.22
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 29 1.17 4.66 0.00% 66.17
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 21 0.67 4.29 0.00% 40.62
【解説】
『腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術』
鼠経ヘルニアに対して腹腔鏡下で修復する手術を行っています。
当院では2013年度より積極的に腹腔鏡下での手術を行っており、これまでに約710件の手術を行っています。
年々手術件数も増加傾向にあります。約8割の症例が術後2~3日で退院しています。

『腹腔鏡下胆嚢摘出術』
胆嚢結石症や胆嚢炎に対して手術を行っています。
胆嚢結石症に対して38件、胆嚢炎に対して21件、胆管結石に対して5件の手術を行っています。
約9割の症例が術後日数4~6日で自宅退院しています。

『内視鏡的胆道ステント留置術』
総胆管結石や悪性腫瘍が原因で起きる胆道の狭窄や黄疸が生じた患者さんに内視鏡下で内瘻チューブをステントとして胆管内に留置する手術です。
60歳以上の患者さんが9割以上を占めています。

『抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)』
悪性腫瘍の患者さんに対して抗悪性腫瘍剤の局所持続注入または疼痛の制御を目的として、チューブまたは皮下植込型カテーテルアクセスを設置する手術です。

『腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの)』
腹腔鏡を用いて虫垂を切除し、原因を根本的に取り除く手術療法です。
ほとんどの患者さんが術後日数4日以内に退院し、50歳未満の患者さんが大半を占めます。

当院主要5術式のうち3術式は腹腔鏡下での手術となっております。
腹腔鏡下手術は開腹手術に比べて患者さんへの身体への負担が軽く、入院期間の短縮につながるため当院では積極的に行っています。
ただし、患者様の状態に伴い、腹腔鏡下での手術が困難だと判断した場合は開腹手術を行うこともあります。
また、転院率については3術式とも低く、自宅退院後、当院外来にて経過を診ています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(膝) etc. 202 1.23 26.55 4.46% 74.42
K0461 骨折観血的手術(大腿) etc. 78 1.55 19.13 66.67% 83.51
K0811 人工骨頭挿入術(股) 61 2.39 19.97 75.41% 83.13
K0462 骨折観血的手術(前腕) etc. 27 1.89 18.37 22.22% 59.56
K0732 関節内骨折観血的手術(手) etc. 24 3.46 19.83 33.33% 60.42
【解説】
『人工関節置換術(膝)(股)』
変形性関節上や関節リウマチの患者さんに対して手術を行っています。
変形した関節を人工関節に入れ替えることで痛みの軽減や歩行能力の改善を図ります。
202件中膝が128件、股が74件の手術を行っています。
転院率は低く9割以上が自宅退院し、当院又は他医療機関の外来にて術後の経過を診ています。

『骨折観血的手術(大腿)(上腕)』
骨折部位(大腿・上腕)の骨接合を行っています。
78件中74件が大腿の手術を行っています。
また、大腿の手術を行った場合は、手術後の経過やリハビリを他医療機関にお願いしている件数が多いため転院率は高くなっています。

『人工骨頭挿入術(股)』
股関節の大腿骨頭が壊れ、骨頭を保存する治療が難しい時に、金属の骨頭に入れ替えることで関節機能を取り戻させる手術です。
9割以上が70歳以上と高齢の患者さんが多く、手術後の経過やリハビリを他医療機関にお願いしている件数が多いため転院率は高くなっています。

『骨折観血的手術(下腿)(前腕)(手舟状骨)』
骨折部位(下腿・前腕・手舟状骨)の骨接合を行っています。
27件中前腕が15件、下腿が9件、手舟状骨が3件の手術を行っています。
約8割が当院又は他医療機関の外来にて術後の経過を診ているため、大腿・上腕の手術をしたときと比べて転院率は低くなっています。

『関節内骨折観血的手術(手)(足)』
骨折線が、骨の関節を構成する部分まで及んでおり、転移・変形が生じて、関節機能に障害を残す可能性がある場合、手術的に整復します。
24件中15件が手の手術を行っています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 18 2.94 7.72 0.00% 72.50
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 14 7.64 4.50 0.00% 31.64
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 10 2.90 5.50 0.00% 68.20
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) - - - - -
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm未満) - - - - -
【解説】
『胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える)』
胸腔鏡下で悪性腫瘍の存在する肺葉を切除する手術で、主に原発性肺癌の患者さんに対して行っています。
また、2回目の原発性肺癌の手術の患者さんや心肺機能が低下している高齢の患者さん、転移性肺腫瘍の患者さんに対し、『胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除)』、『胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除)』の縮小手術を行っております。
縮小切除の中には、患者さんに十分な説明・同意を行った後に、初回の原発性肺癌に対する積極的縮小手術の方も含まれています。

『胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除))』
気胸に対する手術を行っています。10代後半から50代までの患者さんが多くを占めますが、70代の患者さんもいます。
左右に気胸を認めた場合、両側同時に手術を行うケースもあります。

当院では、手術の侵襲性が少なく、早期離床・早期退院が見込まれるという点から胸腔鏡下での手術を積極的に行っております。
上記の胸腔鏡下4術式とも転院率は低く、自宅退院後、当院外来にて術後の経過を診ています。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K159 顔面神経減圧手術(乳様突起経由) 14 1.50 2.36 0.00% 48.86
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 14 1.00 2.21 0.00% 49.64
K347-5 内視鏡下鼻腔手術1型(下鼻甲介手術) - - - - -
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) - - - - -
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) - - - - -
【解説】
『顔面神経減圧手術(乳様突起経由)』
顔面神経麻痺に対して手術を行っています。
全身麻酔下で耳の後ろを切開し、骨を削開し顔面神経を露出させ、神経栄養因子を含む薬剤を留置します。
ほとんどの患者様が術後2~3日で退院します。

『内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術)』
副鼻腔炎に対し手術を行っています。
副鼻腔の病変の広がりにより、Ⅰ~Ⅳ型に分けられます。
ほとんどの患者様が術後2~3日で退院します。

『内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型(下鼻甲介手術)』
鼻閉の原因として鼻の粘膜肥厚があり、薬物治療で効果を認めない場合に行う手術です。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 172 1.07 4.17 0.00% 46.56
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 100 1.03 3.58 0.00% 47.56
K872-31 子宮内膜ポリープ切除術(電解質溶液利用) etc. 64 1.02 0.97 0.00% 44.41
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 37 1.00 4.32 0.00% 36.00
K867 子宮頸部(腟部)切除術 30 1.00 1.00 0.00% 45.67
【解説】
『腹腔鏡下腟式子宮全摘術』
当院の婦人科で最も多くの手術を行ったのは昨年度と同様に腹腔鏡下膣式子宮全摘術でした。
子宮平滑筋腫や腺筋症などの良性の子宮疾患に対して腹腔鏡での子宮摘出の手術を行います。
手術後は4日前後での自宅へ退院される患者さんが多くいらっしゃいました。

『子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡)』
卵巣や卵管の良性腫瘍に対して腹腔鏡にて卵巣と卵管の両方を摘出をする手術を行います。
手術後は3日~4日ほどで退院される患者さんが多くいらっしゃいます。

『子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術、子宮内膜ポリープ切除術(電解質溶液利用)』
子宮鏡にて電解質溶液(主に生理食塩水)を用いて内腔の拡張を行い、液体の注入と排出をコントロールしながら切除を行います。
全64件のうち子宮内膜ポリープの他に子宮頚管、胎盤に対する子宮内膜ポリープ切除術を60件、子宮粘膜下筋腫に対する子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術を4件行いました。
入院期間は概ね2泊3日を要します。

『腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術』
腹腔鏡または腹腔鏡補助下にて子宮筋腫のみを摘出(核出)する手術です。
子宮全摘術とは違い子宮を温存させる手術で、筋腫の大きさや発生してる場所によっては腹腔鏡下での手術ができない場合もあります。
手術後は4日前後での退院となります。

『子宮頸部(腟部)切除術』
子宮頸部の異形成に対しLEEP法を用いた子宮頸部切除術を行います。
ループ型の電気メスを使用して円錐状に病変の切除を行います。
入院期間は概ね2泊3日を要します。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 127 0.47 1.19 0.00% 64.92
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 23 1.13 6.78 0.00% 71.57
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 18 2.89 7.39 5.56% 70.17
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 17 0.35 1.47 5.88% 68.76
K654 内視鏡的消化管止血術 11 0.64 6.64 18.18% 72.09
【解説】
『内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)』
『内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上)』
当院の消化器内科での手術で最も多いのは内視鏡による大腸ポリープ(腫瘍)の切除術でした。
腫瘍の大きさでKコード(手術コード)が分かれていますがどちらも同じ手技になります。
肛門より内視鏡を挿入し大腸に発生したポリープをスネアと呼ばれる輪状の電気メスを用いて切除を行い、切り取った箇所をクリップを用いて止血します。
手術による痛みなどは無く、手術後の出血(下血や血便など)が見られない場合は術後翌日や2日後の退院となります。

『内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜)』
早期の胃癌に対して粘膜下層剥離術と呼ばれる内視鏡下での手術を行います。
癌が発生している粘膜下層を注射薬で膨らませ、その周りを電気メスで切り込み慎重に剥ぎ取り、切り取った傷の部分に止血剤や内視鏡止血術で止血を行います。
剥ぎ取った癌は生体組織診断に出し、どういった癌の種類や進展度、癌が取り切れているかなどを詳しく調べます。
また進行した癌や粘膜下層を超える深さの癌については内視鏡での手術は適応外となってしまいます。
入院期間は平均で10日となっています。

『小腸結腸内視鏡的止血術』
『内視鏡的消化管止血術』
大腸ポリープの内視鏡手術後の出血や結腸憩室出血に対する「小腸結腸内視鏡的止血術」と、
出血を伴う胃潰瘍や十二指腸潰瘍など上部消化管の出血に対する「内視鏡的消化管止血術」を行っています。
内視鏡で腸内の血液を洗浄しながら出血している部分を確認し、出血している箇所にクリップを用いて止血します。
止血術後に再度内視鏡検査を行い止血が確認できれば手術後は1週間ほどで退院となります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - 0.06%
異なる - -
180010 敗血症 同一 - 0.19%
異なる - 0.06%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 40 1.11%
異なる - -
【定義】
症例数10未満の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。

【解説】
『播種性血管内凝固症候群』
播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群は、小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気です。
がん、白血病、細菌感染症などの病気(基礎疾患)にかかっている患者さんに生じることが多い疾患です。

『敗血症』
敗血症とは急性腎盂腎炎や蜂巣炎など感染症をおこしている場所から血液中に病原体が入り込み、重篤な全身状態を引き起こしてしまう症状の重い感染症です。
できるだけ早く診断し、治療を開始する必要があります。

『手術・処置等の合併症』
40件中29件(発生率:0.80%)は、当院で発生した合併症に対し最も医療資源を投入した症例です。
当院での合併症の内訳はカテーテル感染症、術後腹腔内膿瘍、吻合部狭窄、人工関節脱臼、後出血などです。
合併症は最大限の注意を払って最善の治療を施しても、手術・検査等に伴い、ある確率で不可避に起こり得てしまいます。
そのため、事前にその旨を、医師から患者さんに十分な説明を行ったうえで、手術・検査等の同意をいただいております。
更新履歴
2022.09.28
令和3年度版「病院情報の公表」を掲載いたしました。